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横浜基礎研究所紀要

Bulletin of Yokohama Research Institute
for Disability, Education and Industry
Open Access · MMXXVI
Editorial Note

本紀要は、横浜基礎研究所における所員・協力研究者の学術論考を公刊するものである。精神医学史、病跡学、教育学、ならびにその哲学的基盤をめぐる諸研究を、仏・独・英語圏の原典に遡って検討した論考を中心に収録する。所内の査読・改稿を経て一般公開の水準に達したものを随時掲載し、障害と人間性をめぐる思索の公共的資産として蓄積することを目的とする。

Contents
I.
rev. v12
MMXXVI

アンリ・エーとクロード・ケテルによる
ミシェル・フーコーの『狂気の歴史』に対する批判

「大監禁」の実証的検証と
グラディス・スウェインによるピネル再評価を含む
Critiques d’Henri Ey et de Claude Quétel
contre l’Histoire de la folie de Michel Foucault

フーコー『狂気の歴史』への四本の反論——エーの哲学的反駁、ケテルの史料実証、「大監禁」テーゼの数量的検証、そしてスウェインとゴーシェによるピネル再評価——を通じて、精神医学の誕生がルネサンスにおける「個人の発見」に遡ること、そして精神疾患が社会的構築物ではなく「自由の病理」であることを論じる。一九六九年トゥールーズ会議におけるエーの結語「謝罪ではなく感謝を」を軸として、批判の弁証法的構造を再構成する試み。

Keywords — Henri Ey Claude Quétel Foucault Pinel Gladys Swain Psychiatricide
II.
rev. v5
MMXXVI

ドン・ジョバンニ、あるいは
不安を知らぬ者の肖像

キルケゴール『あれか、これか』による
モーツァルト読解をめぐって
Don Giovanni, ou le portrait
de celui qui ne connaît pas l’angoisse

モーツァルト《ドン・ジョバンニ》をキルケゴール『あれか、これか』の「直接的・エロティックな諸段階」を軸に読み解く試み。不安を「自由の眩暈」と定義した同じ哲学者が、なぜ不安を知らぬ男の物語をこれほど愛したのか——この問いを入り口に、省察を持たぬ直接性の存在を音楽として表現することの必然を辿り、シュトラウス《ドン・ファン》やモリエール戯曲との比較を通じて、「精神を持たぬ者」の輪郭を描く。

Keywords — Mozart Kierkegaard Either / Or Anxiety Reflexion Molière