ICD-11 に基づく神経発達症群と併存症の臨床マニュアル
知的発達症に関わる施設スタッフのための臨床ガイド(改訂3版)
知的発達症をもつ方々への支援には、中核となる特性の理解だけでなく、併存する多様な精神的・行動的問題への深い洞察が求められます。本マニュアルは、最新の国際疾病分類ICD-11に基づき、施設職員が日々の支援で遭遇する行動の背景を多角的に理解し、より質の高いケアを提供するための共通言語と臨床的視点を提供することを目的としています。
目次
マニュアルは複数の章に分かれています。新人の方は、まず第1章「神経発達症群」から順にお読みいただくことを推奨いたします。
利用方法
三層構造の学習設計
本マニュアルは、職員の経験年数や勤務状況に応じて柔軟に活用できるよう、以下の三層構造で設計されています。
新人職員の方へ
まずは第1章から、各章のコア層(本文)と図解だけを読んでください。それだけで、施設での日常支援に必要な基本的な視点は身につきます。「もっと詳しく」のボタンは無理に開く必要はありません。
中堅以上の職員の方へ
「+もっと詳しく」のボタンを開くと、各テーマについてより専門的な解説(精神医学的背景、鑑別診断のポイント、最新の研究知見など)が表示されます。シフトの合間や勉強会の準備に活用してください。
シフト勤務での学習について
本マニュアルはスマートフォン・タブレット・PCのいずれの端末でも快適に読めるよう設計されています。休憩時間や移動時間に少しずつ読み進めることが可能です。各章の所要時間(コア層のみ/全層含む)の目安は各章冒頭に表示されています。
本マニュアルは「読んで覚える」ためのものではなく、「現場で迷ったときに開く」ためのものとして設計されています。施設で気になる行動に遭遇したとき、関連する章を開いて参照してください。何度も繰り返し参照することで、自然に視点が身についていきます。
本マニュアルの特徴
ICD-11という共通言語
ICD-11は世界保健機関(WHO)が発表した最新の国際疾病分類です。これを共通言語として用いることで、医師・セラピスト・支援スタッフが同じ枠組みで利用者の状態を理解し、多職種連携を円滑にすることができます。本マニュアルは、ICD-11の診断要件と分類を、施設職員の日常業務に直結する形で解説しています。
「行動の背景を読む」視点
本マニュアルが一貫して強調するのは、利用者の行動を表面的にではなく、その背景にある身体的・感覚的・心理的要因まで含めて理解する視点です。「問題行動」と見える行動の多くは、本人が言葉にできない苦痛のサインである可能性があります。
支援上の鑑別ポイント
各章では、現場で職員が直面する「迷い」――挑戦的行動と衝動制御症の鑑別、ASDのこだわりと強迫症の鑑別、知的発達症の特性とカタトニアの鑑別など――について、具体的な観察ポイントを提示しています。これらは医学的診断のためではなく、医療スタッフへの適切な情報提供のための職員側の視点を養うものです。